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特定技能外国人の受け入れを検討する中で、「派遣という形で雇用することはできるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。普段から派遣社員を活用している企業や、繁忙期に合わせて人材を確保したい事業者にとっては、特定技能でも派遣を利用できれば便利だと感じるかもしれません。
しかし、特定技能は直接雇用が基本で、派遣が認められているのは農業・漁業の2分野のみです。
介護をはじめ、それ以外の分野では派遣による受け入れはできません。
この記事では、特定技能で派遣できる分野や利用する際の条件、介護分野で外国人材を受け入れる方法についてわかりやすく解説します。
特定技能外国人は派遣で雇用できるのか

結論からいうと、特定技能外国人を派遣できるかどうかは、働く分野によって異なります。特定技能制度では直接雇用が基本ですが、農業と漁業については例外的に派遣形態での受け入れが認められています。
| 分野 | 派遣での受け入れ |
|---|---|
| 農業 | 可能 |
| 漁業 | 可能 |
| 介護 | 不可 |
| その他の特定産業分野 | 原則不可 |
出入国在留管理庁でも、派遣による受け入れが認められているのは農業分野と漁業分野の2分野とされています。
原則は直接雇用で派遣できる分野は限られている
派遣が認められていない分野では、特定技能外国人と受け入れ企業が直接雇用契約を結ぶ必要があります。そのため、一般的な人材派遣のように、派遣会社と雇用契約を結んでいる外国人が派遣先企業の指揮命令を受けながら働く形を自由に選べるわけではありません。
一方、農業・漁業では、条件を満たす派遣元が特定技能外国人を雇用し、農業や漁業を行う事業者へ派遣することができます。なお、派遣形態で受け入れる場合には、派遣先や派遣期間などについても適切に定める必要があります。
農業・漁業で派遣が認められている理由
農業と漁業で派遣が認められている背景には、仕事量が季節によって変わりやすいという業界特有の事情があります。
たとえば農業では、作物や地域によって収穫などの繁忙期が異なります。漁業でも、対象となる魚種や漁法などによって忙しい時期が変わります。こうした季節による繁閑の差に対応し、繁忙期の労働力確保や産地間で人材を活用しやすくするため、農業・漁業では派遣形態が認められています。
派遣会社ならどこでも特定技能外国人を派遣できるわけではない
農業・漁業では特定技能外国人の派遣が認められていますが、労働者派遣事業を行っている会社であれば、どこでも派遣できるわけではありません。
法務省・出入国在留管理庁の「特定技能制度に関するQ&A」では、派遣元となる受入れ機関について、通常の受け入れ要件に加えて「次のいずれかに該当することが求められます」としています。
- 対象となる特定産業分野の業務、またはそれに関連する業務を行っている個人・団体
- 地方公共団体や①に該当する個人・団体が、資本金の過半数を出資している事業者
- 地方公共団体や①に該当する事業者などが、役員の選任などを通じて業務執行に実質的に関与している事業者
- 農業分野の場合は、国家戦略特別区域法に定める一定の特定機関
このように、一般的な派遣会社が労働者派遣事業の許可を持っているだけでは、特定技能外国人を派遣できるとは限りません。
さらに、農業分野では農業特定技能協議会の構成員になることや、協議会の活動に必要な協力を行うことなど、分野ごとの条件も定められています。
特定技能外国人の派遣を検討するときは、派遣事業者としての条件だけでなく、特定技能制度で定められた派遣元・派遣先それぞれの要件を満たしているかまで確認することが大切です。
出典:法務省・出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
介護分野で特定技能外国人を派遣することはできない

介護事業者が特定技能外国人を受け入れる場合、特に注意したいのが雇用形態です。
介護分野については、分野別の運用方針で「直接雇用に限る」とされています。したがって、特定技能外国人を派遣社員として介護施設や事業所に受け入れることはできません。
介護事業者と特定技能外国人が直接雇用契約を結ぶ
介護分野で特定技能外国人を採用する場合は、実際に働く介護事業者が特定技能所属機関となり、外国人本人と直接雇用契約を結びます。そのため、「まず派遣スタッフとして働いてもらい、その後に直接雇用へ切り替える」といった一般的な紹介予定派遣のような受け入れ方を、特定技能で行うことはできません。
また、介護分野では1号特定技能外国人の受け入れ人数にも上限があり、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数までとされています。採用人数を決める際には、雇用形態だけでなく、自社の常勤介護職員数も確認しておきましょう。
派遣はできなくても人材紹介会社は利用できる
ここで混同しやすいのが、「人材派遣」と「人材紹介」の違いです。
介護分野で特定技能外国人の派遣はできませんが、採用候補者を探すために人材紹介会社を利用することまで禁止されているわけではありません。人材紹介の場合は、紹介会社から外国人材の紹介を受けたあと、介護事業者と外国人本人が直接雇用契約を結びます。
一方、人材派遣では、外国人と派遣会社との雇用関係が続いたまま、派遣先で仕事をします。
つまり介護分野では、次のように整理できます。
- 人材紹介会社を通じて採用する:可能
- 派遣会社から特定技能外国人を派遣してもらう:不可
「自社だけで外国人材を探すのは難しい」という場合でも、派遣ではなく、人材紹介や登録支援機関などのサービスを活用しながら直接雇用につなげる方法があります。
特定技能外国人を直接雇用するときのポイント

農業・漁業以外で特定技能外国人を受け入れるのであれば、直接雇用を前提に採用体制を整えていく必要があります。単に雇用契約を結べばよいわけではなく、受け入れ機関や雇用条件、支援体制などについても基準が定められています。
日本人と同等以上の報酬など雇用条件を整える
特定技能外国人との雇用契約では、外国人であることを理由に不利な待遇とすることは認められていません。たとえば、同等の業務に従事する日本人と比べて、報酬額が同等以上であることなどが求められます。
また、特定技能外国人の所定労働時間は、受け入れ機関で働く通常の労働者と同等である必要があります。特定技能制度でいうフルタイムは、原則として週5日以上・年間217日以上、かつ週30時間以上とされています。
「忙しいときだけ週に数日働いてもらう」といった一般的なアルバイトのような採用方法とは異なる点にも注意が必要です。
特定技能1号では支援計画を作成する
特定技能1号の外国人を受け入れる場合は、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、それに基づいた支援を行う必要があります。
具体的な支援には、次のようなものがあります。
- 生活オリエンテーション
- 住居確保や生活に必要な契約のサポート
- 日本語学習の機会の提供
- 公的手続きへの同行
- 生活や仕事に関する相談・苦情への対応
外国人材を採用した後も、日本で安心して仕事や生活を続けられるような環境を整えることが必要です。
支援は登録支援機関に委託することもできる
特定技能1号の支援をすべて自社だけで行うことが難しい場合には、支援計画の全部を登録支援機関へ委託することができます。登録支援機関は、特定技能所属機関から委託を受け、1号特定技能外国人に必要な支援を行う機関です。
特に初めて特定技能外国人を採用する企業では、在留資格に関する手続きだけでなく、入国後の生活支援や定期的なフォローまで考えて受け入れ体制を整えておくことが重要です。
特定技能で派遣できるのは農業・漁業|その他の分野は直接雇用を検討しよう
特定技能外国人を採用したいと思っても、「派遣で受け入れられるのか」「自社で直接雇用しないといけないのか」と迷うこともあると思います。
2026年9月時点で、特定技能外国人を派遣で受け入れられるのは農業と漁業の2分野です。介護をはじめ、それ以外の分野では、受け入れ先と外国人本人が直接雇用契約を結ぶ必要があります。
ただし、介護分野でも人材紹介会社を通じて外国人材を探すことはできます。また、特定技能1号の受け入れ後に必要となる支援についても、自社だけで対応するのが難しい場合は、登録支援機関に委託することが可能です。
医療介護ネットワークでは、介護分野を中心に、特定技能外国人の人材紹介から受け入れ後の支援までサポートしています。「まず何から準備すればいいのかわからない」「自社の場合はどのような受け入れ方が合っているのか知りたい」といった場合も、お気軽にご相談ください。