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特定技能でも産休・育休は取得できる?条件や手続き、注意点を解説

特定技能でも産休はとれる?

医療介護ネットワークのコラムをご覧いただきありがとうございます。

特定技能で働く外国人から妊娠の報告を受けて、産休育休をどう扱えばよいのか判断がつかず、対応を止めてしまう企業は少なくありません。
外国人だから対象外なのではないか、在留資格はどうなるのか、休業中の給与は誰が負担するのか。こうした疑問が一度に押し寄せると、本人への回答が遅れ、不安を抱えたまま働かせてしまうことになります。

結論から必要な部分だけ先に押さえておくと、産前産後休業も育児休業も、日本人の従業員と同じ枠組みで扱うのが原則です。
国籍や在留資格によって適用の可否が変わる制度ではありません。そのうえで、特定技能に特有の論点として在留期間の通算の扱いと入管への届出があり、ここだけは別に確認しておく必要があります。制度の全体像と、企業として実際に何をするのかを順に整理していきます。

特定技能でも産休育休は取得できるのか

特定技能でも産休育休は取得できるのか

まず前提として、労働基準法は日本国内で働く労働者に適用され、国籍による差を設けていません。

労働基準法第3条は、国籍を理由として労働条件について差別的取扱いをしてはならないと定めています。
したがって、特定技能の在留資格で働いている外国人にも、産前産後休業をはじめとする各種の保護規定がそのまま及びます。この点を最初に社内で共有しておくだけで、担当者ごとに判断が割れる事態を避けられます。

産前産後休業は国籍や在留資格を問わず適用される

産前産後休業は、労働基準法第65条に定められた制度です。

産前は出産予定日の6週間前から、多胎妊娠の場合は14週間前から、本人が請求した場合に就業させてはならないのが決まり。
産後は8週間、本人の請求の有無にかかわらず就業させることができません。

ただし産後6週間を経過した後に本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務については就かせることが可能。
ここで注意したいのは、産後休業が会社側の義務であり、本人が働きたいと申し出た場合でも産後6週間は認められないという点です。

本人が帰国を心配して働き続けようとするケースもあるため、義務であることを丁寧に説明する必要があります。

育児休業も要件を満たせば取得できる

育児休業は育児・介護休業法に基づく制度で、原則として子が1歳に達する日まで取得できます。

保育所に入所できないなどの事情がある場合は1歳6か月まで、さらに要件を満たせば2歳まで延長が可能。
こちらも国籍や在留資格による制限はありません。

産前産後休業が労働基準法上の休業であるのに対し、育児休業は本人の申し出によって取得するものだという違いがあります。
申し出がなければ会社が勝手に休業させることはできませんし、逆に申し出があれば要件を満たす限り拒むことはできません。

制度の性質が異なるため、社内の説明資料でも分けて記載しておくとわかりやすくなります。

妊娠や出産を理由にした解雇は認められない

男女雇用機会均等法では、妊娠や出産、産前産後休業の取得などを理由とした解雇や不利益な取扱いが禁止されています。
育児・介護休業法においても、育児休業の申し出や取得を理由に不利益な扱いをすることは認められていません。

特定技能についても注意が必要です。出入国在留管理庁の運用要領では、外国人が妊娠したことを理由とする解雇が、労働関係法令違反の例として挙げられています。こうした法令違反は、特定技能所属機関の欠格事由につながる可能性もあります。

つまり、妊娠を理由に契約を打ち切ることは、本人の生活や将来に大きな影響を与えるだけではありません。企業側にとっても、今後の特定技能外国人の受入れに関わる重要な問題です。

産前産後休業と育児休業の違いを整理する

産前産後休業と育児休業の違い

社内で混乱が起きやすいのが、産前産後休業と育児休業を一体のものとして捉えてしまうことです。

名称が似ているうえ、実務上は連続して取得することが多いため、同じ制度のように扱われがち。
実際には根拠となる法律も、期間も、申し出の要否も異なります。整理して押さえておきましょう。

項目 産前産後休業 育児休業
根拠となる法律 労働基準法第65条 育児・介護休業法
期間 産前6週間(多胎14週間)と産後8週間 原則として子が1歳に達する日まで
申し出 産前は本人の請求、産後は請求不要 本人の申し出が必要
主な給付 出産手当金(健康保険) 育児休業給付金(雇用保険)

産前産後休業の期間と会社の義務

産前休業は本人の請求によって始まりますが、産後休業は請求がなくても会社が就業させてはならない期間です。

この違いを取り違えると、産後すぐに本人から働きたいと言われた際に誤った対応をしてしまいます。
実務では、出産予定日が確定した時点で休業開始日と復帰予定日を仮に置き、出産日が前後した場合にどう調整するかまで含めて説明しておくと、後の行き違いが減ります。

出産日は予定通りにならないことが多いため、日付の再計算が必要になる前提で準備しておくのが現実的です。母国語での説明資料や通訳を用意できると、理解の差が埋まりやすくなります。

育児休業の期間と申し出のルール

育児休業は原則として子どもが1歳になるまで取得できますが、実務上注意したいのが延長の手続きです。

保育所に入所できない場合などは、一定の要件を満たせば1歳6か月、さらに2歳まで延長できます。その際、市区町村が発行する入所保留通知書などの書類が必要になる点に注意しましょう。

外国人従業員の場合、保育所の申込み手続きに慣れておらず、申込時期を逃した結果、延長要件を満たせなくなるケースも考えられます。こうした事態を防ぐためにも、休業に入る前から「いつまでに、どの手続きが必要か」を一緒に確認しておくことが大切です。

また、育児休業とは別に、子どもの出生直後に取得できる休業制度もあります。配偶者も日本で働いている場合は、双方が利用できる制度をあわせて確認しておくとよいでしょう。

有期雇用契約の場合に確認しておくこと

特定技能の雇用契約では有期契約となっているケースも多いため、契約期間や更新条件は特に確認しておきたいポイントです。

有期雇用労働者が育児休業を取得するには、子どもが1歳6か月に達する日までに労働契約が終了することが明らかでないことが要件とされています。そのため、契約期間だけでなく、これまでの更新状況や今後の更新見込みも整理しておく必要があります。

また、労使協定を締結している企業では、入社1年未満の従業員などを育児休業の対象から除外できる場合もあります。相談を受けてから確認するのではなく、自社に該当する労使協定があるか、どのような従業員が除外対象となっているかを事前に把握しておくと安心でしょう。

特定技能外国人が休業を申し出てから復帰するまでの流れ

特定技能外国人産休流れ

制度を理解していても、実際の手順が固まっていなければ対応は遅れます。

そこで、妊娠の報告から復帰までの流れをあらかじめ一本の線にしておくと、担当者が代わっても同じ対応ができるので◎。
特定技能の場合は、労務の手続きに加えて入管への届出が加わる点が日本人従業員との違いです。

本人からの申し出と会社側の確認事項

最初にすべきことは、本人の意向を確認することです。

出産後も日本で働き続けたいのか、一度帰国して出産するのか、育児休業を取得したいのかによって、その後の手続きがすべて変わります。
ここを曖昧にしたまま進めると、後から在留資格や契約の扱いをやり直すことになるので要注意。
あわせて、出産予定日、通院の状況、業務の負担軽減が必要かどうかも確認しましょう。母性健康管理の観点から、医師の指導があった場合には勤務時間の短縮や作業の制限などの措置が必要になることがあります。健康診査を受けるための時間の確保についても、法令上の定めがあります。

在留資格に関わる届出と通算5年の取り扱い

特定技能所属機関には、外国人材の受入れが困難になった場合、出入国在留管理庁へ届け出なければいけません。

産休や育休によって一定期間業務に従事できなくなるケースも、「受入れ困難に係る届出」の対象となる可能性があります。
事由が発生した日から14日以内という期限が設けられているため、手続きのタイミングには注意が必要です。
届出を怠ると、受入れ機関としての適格性に影響するおそれもあるため、期限はあらかじめ把握しておきましょう。

あわせて確認したいのが、特定技能1号に設けられている通算5年の在留期間上限との関係です。

2025年9月30日に改正された「特定技能外国人受入れに関する運用要領」では、妊娠・出産・育児など、やむを得ない事情によって業務に従事できなかった期間を、特定技能1号の通算在留期間から除く取り扱いが示されました。

たとえば、産前産後休業や育児休業の期間については、一定の要件を満たすことで通算5年に含めない取り扱いが可能です。

改正前は休業期間も通算5年に含まれていたため、実務上の取り扱いは大きく変わったといえます。
ただし、休業した期間が自動的に除外されるわけではありません。
必要な届出を適切に行い、在留諸申請の際には事情を説明する資料を添えることが前提となります。

取り扱いの詳細は変更される可能性もあるため、手続きを進める際は出入国在留管理庁の最新の運用要領を確認しておくと安心です。

復帰の時期と働き方をどう相談するか

産休育休からの復帰の時期は、保育所の入所時期と本人の体調に左右されます。

日本の保育所は年度の切り替わりに合わせた申込みが基本になるため、復帰希望時期と申込み時期がずれることも。
この点は日本人従業員でも起こる問題ですが、制度に不慣れな外国人従業員ではより起こりやすくなります。

復帰後の働き方についても、短時間勤務や所定外労働の免除といった制度があるため、選択肢を提示したうえで相談するのが望ましい進め方です。
配置転換が必要になる場合は、特定技能の在留資格で認められている業務の範囲から外れないかを必ず確認しましょう。
ここを見落とすと、本人の在留資格に影響が及ぶおそれがあります。

特定技能外国人の休業中の給与と受け取れる給付

特定技能外国人の休業中の給与

休業中の給与をどう扱うのかは、本人からも会社からもよく質問されます。

原則として、休業期間中に会社が賃金を支払う義務はありません。
そのかわりに健康保険と雇用保険から給付が支給される仕組みになっており、本人の生活はこの給付で支えられます。

金額や要件は改正されることがあるため、実際の案内では厚生労働省や協会けんぽなど公的機関の最新の情報を確認したうえで説明してください。

出産手当金と出産育児一時金

出産手当金は健康保険の被保険者本人が出産のために会社を休み、給与が支払われない場合に支給されるものです。

産前42日、多胎妊娠では98日から、産後56日までの範囲で、標準報酬日額のおおむね3分の2に相当する額が支給されます。
被保険者本人が対象であり、扶養に入っている家族には支給されません。

出産育児一時金は、妊娠4か月以上での出産について子ども1人あたり原則50万円が支給される制度で、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は48万8千円となります。

医療機関へ直接支払う仕組みを利用すれば、窓口での負担を抑えられるのでおすすめ。
いずれも協会けんぽや加入している健康保険組合が窓口です。

育児休業給付金と出生後休業支援給付金

育児休業給付金は雇用保険の制度です。

支給額は休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額の67パーセントが目安で、休業開始から181日目以降は50パーセントとなります。
雇用保険の被保険者であることに加え、休業開始前の一定期間に必要な被保険者期間があることが要件です。
特定技能の外国人も雇用保険に加入していれば対象になります。

さらに、2025年4月に始まった出生後休業支援給付金があり、子の出生後の一定期間に夫婦がともに一定日数以上の育児休業を取得した場合に、休業前賃金の13パーセント相当が上乗せされます。

配偶者が就労していない場合など、要件の判断が分かれるケースもあるため、個別の可否はハローワークに確認するのが確実です。

社会保険料の免除と会社側の手続き

産前産後休業期間中と育児休業期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担分と事業主負担分の両方について免除されます。

ただし、免除は自動的に適用されるものではないので注意。
事業主が年金事務所などへ申出書を提出する必要があります。

免除された期間も保険料を納めた期間として扱われるため、将来の年金額に不利益は生じません。
会社側の実務としては、休業開始時の申出、期間が変更になった場合の変更届、終了時の届出という流れになります。

あわせて、育児休業給付金の申請はハローワークへ、出産手当金の申請は健康保険の保険者へと窓口が分かれる点も押さえておきましょう。
手続きの入口が複数あるため、担当者が一覧を持っておくと漏れを防げます。

特定技能の産休育休は制度を先に知っておくことが会社を守る

特定技能で働く外国人の産休育休は、日本人の従業員と同じ制度が適用されるのが原則であり、外国人だから取得できないという扱いは法令上も運用上も認められていません。

産前産後休業は労働基準法に基づく休業で産後の8週間は会社の義務、育児休業は本人の申し出によって取得する制度であり、有期雇用契約の場合は契約の見込みが要件の判断に関わります。
休業中の給与は原則として発生せず、出産手当金と出産育児一時金、育児休業給付金と出生後休業支援給付金が本人の生活を支えます。
特定技能に特有の論点は、受入れ困難に係る届出の期限と、2025年9月30日の改正で扱いが変わった通算5年の在留期間の計算です。

これらを妊娠の報告を受けてから調べ始めると、届出の期限を過ぎたり、本人に誤った説明をしたりする危険も。
制度を先に把握しておくことは、本人が安心して働き続けられる環境をつくると同時に、受入れ機関としての適格性を守ることにもつながります。

医療介護ネットワーク株式会社では、特定技能外国人の受入れと登録支援機関としての支援を通じて、こうした妊娠や出産に伴う対応のご相談も受け付けています。
自社の就業規則や労使協定が現在の制度に対応しているか不安がある場合や、届出の進め方を確認しておきたい場合は、報告を受ける前の落ち着いた時期にぜひ一度ご相談ください。
制度の条件や給付の内容は改正されることがあるため、実際の対応にあたっては厚生労働省や出入国在留管理庁が公表している最新の情報とあわせてご確認いただくようお願いいたします。