
人手不足が深刻な業界を中心に、特定技能外国人の受け入れを検討する企業が増えています。
そのなかで、「特定技能外国人をアルバイトやパートとして雇うことはできるのか」という疑問を持つ採用担当者は少なくありません。
結論から言えば、特定技能はフルタイムでの直接雇用を前提とした在留資格であり、一般的なアルバイト採用とは仕組みが大きく異なります。
留学生のアルバイトや家族滞在者の就労と混同されやすいですが、在留資格ごとに認められる働き方のルールは明確に分かれています。
この記事では、特定技能外国人のアルバイト雇用の可否、留学生との違い、企業が確認すべき雇用条件や注意点を整理。
特に介護・医療福祉分野での受け入れを検討している方に向けて、支援体制のつくり方や専門家への相談の重要性もあわせて紹介します。
特定技能外国人をアルバイトで雇えるのか

「特定技能の外国人をアルバイトとして雇えないか」という相談は、採用の現場で繰り返し出てくるテーマです。
人手不足の現場では「フルタイムでなくても、週に数回来てもらえるだけで助かる」と感じる場面もあるでしょう。
しかし、特定技能の在留資格にはフルタイム勤務を前提とした明確なルールがあり、アルバイトやパートタイムでの雇用は認められていません。ここでは、その理由と例外について整理します。
特定技能はフルタイム直接雇用が原則
特定技能の在留資格は、日本国内の深刻な人手不足に対応するために2019年4月に創設された制度です。
一定の専門性や技能を持つ外国人材を、人手不足が顕著な産業分野で受け入れることを目的としています。
この制度で求められる雇用形態は「フルタイムの直接雇用」です。
フルタイムの定義は、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上、週の労働時間が30時間以上とされています。
派遣や請負ではなく、受け入れ企業が直接雇用契約を結ぶ必要があります。
つまり、特定技能外国人を週2〜3日だけのシフトや、1日数時間のパートタイムで雇うことは、制度上認められていません。
アルバイトやパートタイムが認められない理由
特定技能の在留資格は、安定した雇用関係のもとで外国人材が技能を発揮し、日本社会に定着することを前提に設計されています。
アルバイトやパートタイムのような短時間・不安定な雇用では、在留資格の趣旨に沿わないと判断されます。
また、特定技能外国人の受け入れ企業には、支援計画の策定や生活面でのサポートが義務づけられています。
短時間勤務ではこうした支援の実施が難しくなり、外国人材の生活基盤を支えることが困難になるという点も理由の一つです。
副業や掛け持ちについても同様で、特定技能の在留資格では原則として認められていません。
農業・漁業分野での例外的な派遣雇用
ただし、特定技能の対象分野のうち農業と漁業については、季節によって繁閑の差が大きいという産業特性を踏まえ、例外的に派遣形態での雇用が認められています。
この場合も、派遣元は法令を遵守した適正な事業者であることが求められ、派遣先での業務内容も在留資格で認められた範囲に限定されます。
農業・漁業以外の分野では派遣雇用は認められていないため、介護や飲食料品製造などの分野で特定技能外国人を派遣で雇うことはできません。
特定技能と留学生アルバイトや家族滞在との違い

特定技能外国人のアルバイト雇用について調べるなかで、留学生のアルバイトや家族滞在者の就労と混同してしまうケースが見受けられます。
外国人材を雇用する際に「アルバイトで雇えるかどうか」は、在留資格の種類によって答えがまったく異なります。
ここでは、特定技能との違いを在留資格ごとに整理します。
留学生の資格外活動許可とは
留学生の在留資格は、本来は就労を目的としたものではありません。
しかし、「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)のアルバイトが認められます。
コンビニや飲食店で外国人のアルバイトスタッフを見かける機会が増えたのは、この制度を利用した留学生が多いためです。ただし、あくまで学業が主目的であり、許可された時間を超えて働くと不法就労に該当します。
家族滞在ビザでのアルバイトとの混同に注意
「家族滞在」の在留資格を持つ方も、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトが可能です。就労系の在留資格を持つ配偶者に帯同して来日した方などが該当します。
企業側が注意すべきなのは、「アルバイトで雇える外国人」と「特定技能外国人」を同じ枠で考えてしまうことです。特定技能の在留資格で来日している方に対して、週28時間以内のアルバイト契約を提示するのは制度の趣旨に反し、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。
在留資格ごとの就労制限を正しく理解する
外国人を雇用する際は、必ず在留カードを確認し、在留資格の種類と就労制限を把握することが欠かせません。
特定技能、技能実習、留学、家族滞在、永住者、定住者など、在留資格によって認められる就労の範囲は細かく分かれています。
| 在留資格 | アルバイト可否 | 条件 |
|---|---|---|
| 特定技能 | 不可 | フルタイム直接雇用が必須 |
| 留学 | 可(許可制) | 資格外活動許可・週28時間以内 |
| 家族滞在 | 可(許可制) | 資格外活動許可・週28時間以内 |
| 永住者・定住者 | 可 | 就労制限なし |
「アルバイトで雇えるだろう」と自己判断で採用を進めてしまうと、企業側も処罰の対象になるリスクがあるので、おすすめしません。
判断に迷う場合は、入管業務に詳しい行政書士や専門機関に確認することをおすすめします。
特定技能外国人を採用するときに確認すべきポイント

特定技能外国人を受け入れるにあたっては、在留資格の確認だけでなく、雇用契約の内容や支援計画の策定、受け入れ体制の整備など、多くの準備が必要になります。
求人を出して採用すれば終わりではなく、入職後の支援まで含めた一連の体制をつくることが求められます。
ここでは、採用前に企業が確認しておくべき主なポイントを整理します。
在留資格と業務内容の一致を確認する
特定技能の在留資格は、分野ごとに認められた業務が決まっています。
たとえば介護分野であれば、身体介護およびそれに付随する支援業務が対象。
在留資格で認められていない業務に従事させることは、不法就労に該当します。
採用時には、在留カードに記載された在留資格と指定書の内容を確認し、自社で任せたい業務が制度上認められた範囲に含まれているかを必ず照合してください。
「人手が足りないから別の業務も手伝ってもらう」といった運用はリスクが伴います。
雇用契約と勤務条件は日本人と同等以上に
特定技能外国人との雇用契約では、報酬額や労働時間、休日、福利厚生などの条件が、同じ業務に従事する日本人と同等以上であることが求められます。
これは法令上の要件であり、安い賃金で雇用する目的では制度を利用できません。
雇用契約書は日本語と本人が理解できる言語の両方で作成し、内容を十分に説明したうえで合意を得る必要があります。
労働条件の不一致は、在留資格の更新時に問題となることもあります。
支援計画の策定と受け入れ体制の整備
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、「1号特定技能外国人支援計画」の策定が義務づけられています。
支援計画には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談・苦情への対応、定期面談の実施など、10項目の義務的支援が含まれます。
自社で支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関に委託することも可能。
登録支援機関は、支援計画の策定代行から外国人材の定着支援まで包括的にサポートするため、初めて特定技能外国人を受け入れる企業にとっては心強い存在です。
介護・医療福祉分野で特定技能人材を受け入れるには

介護や医療福祉の現場では、慢性的な人手不足が続いています。
夜勤のシフトが組めない、入職しても短期間で離職してしまう、そもそも応募が集まらないといった課題を抱える施設は少なくありません。
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れることは、こうした状況に対する一つの選択肢です。
ここでは、介護分野に焦点を当てて、受け入れの条件や現場での定着を支える体制づくりについて解説します。
介護分野の受け入れ条件と人数の上限
特定技能「介護」で外国人材を受け入れるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、受け入れ事業所が介護等の業務を行っていること。訪問介護への従事は現時点では認められていません。
受け入れ人数にも上限があり、事業所ごとに日本人等の常勤介護職員の総数を超えない範囲とされています。
また、特定技能協議会への加入も必要です。
外国人材側には、介護技能評価試験と介護日本語評価試験への合格、または介護福祉士養成施設の修了が求められます。
技能実習2号を良好に修了した方が特定技能に移行するケースも増えています。
現場への定着を支える支援体制のつくり方
外国人材の採用は、入職がゴールではありません。現場に定着してもらうためには、日本語でのコミュニケーション支援、業務マニュアルの多言語化、メンター制度の導入など、受け入れ後のフォロー体制が欠かせません。
夜勤やシフト調整についても、本人の体力や生活リズムを考慮しながら無理のない範囲で組むことが大切です。文化や生活習慣の違いから生じる小さなすれ違いを放置せず、定期的な面談で状況を確認する姿勢が、長期的な定着につながります。
制度が複雑で不安がある場合は、早めに専門家へ相談することで採用後のトラブルを防ぎやすくなります。
自社だけで抱え込まず、登録支援機関や外国人材の紹介に実績のある専門機関を活用する方法も検討してみてください。
特定技能の採用に不安があれば早めの相談で備えを
特定技能外国人の採用は、アルバイトやパートタイムとは異なり、フルタイムの直接雇用を前提とした制度。
在留資格の確認、雇用条件の整備、支援計画の策定、入職後のフォローまで含めて考える必要があり、採用前の準備が成功の鍵を握ります。
留学生のアルバイトや家族滞在者の就労とは制度の仕組みがまったく異なるため、混同しないよう注意が必要です。
介護・医療福祉分野で人材不足に悩む事業者にとって、特定技能制度は有力な選択肢の一つ。
しかし、利用するためには制度への正しい理解と受け入れ体制の整備が前提になります。
自社だけでの対応に不安がある場合は、登録支援機関や外国人材の紹介に実績のある専門機関に相談するのがおすすめ。
採用後のリスクを減らしやすくなります。
医療・介護分野で特定技能外国人の採用を検討しているのなら、ぜひ当社医療介護ネットワークお気軽にご相談ください。
制度の理解から受け入れ体制の構築など、基本的なことから専門的なことまで一貫してサポートさせていただきます。