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物流業界の人手不足の解決策とは?特定技能「物流倉庫」を含めてわかりやすく解説

物流業界の人手不足の解決策

物流業界の人手不足は深刻さを増しており、特に倉庫業や庫内作業を担う中小〜中堅の物流会社では、現場を回すこと自体が難しい状況になっています。
少子高齢化による若年層の減少、2024年4月から適用された働き方改革関連法によるドライバーの労働時間上限、そして賃金水準への不満による離職。
複数の要因が重なり、今や人材を集めるだけでは解決しきれない局面に入っています。

本記事では、物流倉庫の人手不足に悩む経営者・採用担当・現場責任者に向けて、具体的な解決策を整理。
中でも注目したいのは、2027年春に本格施行が予定されている特定技能「物流倉庫」分野の追加です。

これまで特定技能の対象外だった倉庫業務で外国人材を受け入れる道が開かれることは、人手不足対策の選択肢を大きく広げる出来事と言えます。
倉庫の自動化・省力化、多様な人材の活用、労働環境の改善といった既存の打ち手も含めて、現場で取り組める解決策を解説します。

物流倉庫の人手不足を解決する4つのアプローチ

物流倉庫 多様な人材 作業員

人手不足に直面したとき、最初に思い浮かぶのは「採用を強化する」という発想です。
しかし、労働人口そのものが縮小している現状では、採用の入口を広げるだけでは追いつきません。

解決策は大きく4つの方向性に整理できます。
多様な人材の活用、業務の自動化・省力化、労働環境の改善、そして新たに加わる特定技能制度の活用です。それぞれの内容を順に見ていきましょう。

多様な人材の活用:シニア・女性・外国人

人手不足対策として有効なのが、これまで主力ではなかった人材層の活用です。
シニア世代、女性、外国人という3つの人材層が代表的な対象となります。
シニア世代は経験と安定性を、女性は柔軟な働き方ニーズへの対応を、外国人は若い労働力をそれぞれ供給する可能性を持っています。

ただし、それぞれの人材層には固有の配慮が必要です。
シニア世代には体力的な負荷を軽減する作業設計、女性には更衣室・トイレ・休憩スペースの整備、外国人には言語面のサポートと生活基盤の支援といったように、受け入れる前に環境を整えることが定着率を左右します。
「人を集める」ことと「人が働き続けられる環境を整える」ことは表裏一体なのです。

倉庫の自動化・省力化への投資

人を増やすのではなく、人に依存しない作業を増やすという発想も重要です。
パレット搬送、ピッキング、仕分け、梱包といった反復作業はロボットや自動機器が担える領域であり、近年は導入コストも下がってきています。AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)、自動倉庫システム、ピッキング支援システムなど、選択肢は幅広く存在します。

自動化の最大のメリットは、作業員の負担を軽減しながら処理量を維持できる点です。
重量物の運搬や長時間の歩行といった負荷の高い作業をロボットに任せることで、人はより付加価値の高い業務に集中できます。
さらに、特定技能「物流倉庫」分野では、ITシステムの活用と省力化機器の導入が受入要件として明記される見込みであり、自動化は外国人材の受け入れを目指す上でも避けて通れないテーマです。

労働環境の改善と定着率向上

採用と並行して取り組むべきなのが、既存社員の離職を防ぐための労働環境改善です。
週休2日制の導入、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくり、残業手当に頼らない給与体系への見直しなど、定着率を高める施策は多岐にわたります。

特に庫内作業は重労働で離職率が高い傾向があるため、休憩スペースの整備、空調管理、安全装備の充実といった「働く場としての快適さ」を見直すことが効果を発揮します。
新規採用に投じるコストの何分の一かを既存社員の環境改善に回すだけで、結果として人手不足の進行を緩やかにできるケースも少なくありません。

業務効率化と外注の見直し

配送計画の見直し、積載率の改善、待機時間の削減といった業務効率化も、結果的に人手不足の緩和につながります。少ない人員でも回せる業務設計に組み替えることで、過剰な労働力を必要としない仕組みをつくることが可能です。

WMS(倉庫管理システム)の導入、デジタル化による在庫管理の効率化、ピッキングルートの最適化など、テクノロジーを活用した効率化は近年大きく進歩しています。すべてを一気に導入する必要はなく、自社の課題に合わせて優先順位をつけた導入が現実的です。

注目すべき特定技能「物流倉庫」分野の追加

特定技能物流倉庫

人手不足対策の選択肢として、2027年春に新たに加わる予定なのが特定技能「物流倉庫」分野です。

これまで倉庫業務は特定技能の対象外だったため、外国人材を受け入れる道が限られていました。
新分野の追加は、物流倉庫における人材確保の選択肢を大きく広げる転換点となります。

2026年1月の閣議決定と2027年春の本格施行予定

2026年1月23日、日本政府は特定技能制度に「物流倉庫」「廃棄物処理」「リネンサプライ」の3分野を追加する閣議決定を行いました。
これにより、特定技能の受入対象は16分野から19分野に拡大されます。
物流倉庫分野については、現在準備期間に入っており、2027年春の本格施行が予定されています。

これまで物流倉庫業務で外国人材を受け入れる場合、技能実習制度の限定的な活用にとどまっていました。
特定技能制度の対象となることで、より長期的かつ安定的に外国人材を雇用できる枠組みが整います。施行までの期間は、受け入れに向けた準備を整える貴重な時間です。

受入要件と業務範囲のポイント

特定技能「物流倉庫」分野で外国人材を受け入れるには、いくつかの要件が定められる見込みです。
受入企業側にはITシステムの導入と省力化・安全対策機器の整備が求められ、純粋にアナログな作業環境では受け入れができないと見られています。これは、外国人材が安全かつ効率的に働ける環境を担保するための条件です。

また、特定技能「物流倉庫」分野では派遣形態での雇用は認められず、直接雇用が原則となります。
これは外国人労働者の権利保護と長期的なキャリア形成を支援するための仕組みです。受け入れる側には、派遣会社経由ではなく自社で直接雇用する責任が生じます。

外国人材側に求められる技能と日本語レベル

外国人材が特定技能1号の在留資格を取得するためには、物流倉庫業務の基礎知識に関する技能評価試験と、安全衛生に関する理解を問う試験に合格する必要があります。加えて、日本語能力試験N4レベル相当の日本語力も求められます。

N4レベルは「基本的な日本語を理解することができる」段階で、現場での簡単な指示理解やコミュニケーションが可能なレベルです。
受け入れ企業は、この日本語力を前提とした業務指示や教育マニュアルの整備が必要になります。
やさしい日本語で書かれた手順書や、視覚的にわかりやすい作業指示書の準備が、定着と生産性向上の鍵となります。

特定技能「物流倉庫」を活用するために今からできる準備

物流倉庫 自動化 ロボット 設備

2027年春の本格施行までは、まだ時間があるように感じられるかもしれません。
しかし、外国人材の受け入れには社内体制の整備が不可欠であり、施行直前から準備を始めても間に合わないケースが多いのが実情です。今から取り組めることを整理しておきましょう。

業務範囲と作業手順の見直し

外国人材を受け入れる前に、自社の業務範囲を明確にすることが最初のステップです。
どの作業を任せ、どの作業は日本人スタッフが担当するのかを整理し、業務マニュアルとして文書化しておきましょう。
曖昧な業務分担は、外国人材の戸惑いやトラブルの原因となります。

作業手順は、視覚的にわかりやすく、やさしい日本語で記載することが重要です。
動画マニュアルや写真付きの手順書も効果的。日本人スタッフにとっても作業の標準化につながり、教育コストの削減という副次的なメリットもあります。

受け入れ環境と生活支援の整備

外国人材を受け入れるには、職場の環境だけでなく生活面のサポートも必要です。
住居の確保、行政手続きの支援、地域コミュニティとの関わり、医療機関へのアクセスなど、日本での生活を支える仕組みを準備しておきましょう。
我々医療介護ネットワークをはじめとした登録支援機関を活用することで、こうしたサポート業務を外部に委託することも可能です。

職場では、宗教や文化の違いに配慮した休憩時間や食事スペースの提供、ハラスメント対策の徹底など、誰もが働きやすい環境づくりが求められます。これは外国人材だけでなく、日本人スタッフの働きやすさにもつながります。

IT・省力化機器の導入計画の策定

特定技能「物流倉庫」分野の受入要件にはITシステムの活用と省力化機器の導入が含まれる見込みのため、施行までに自社の倉庫設備をどう整備するかを計画しておく必要があります。
WMS、ハンディターミナル、自動仕分け機、AGVなど、自社の規模と業務内容に合った機器の導入を段階的に進めましょう。

導入には補助金や助成金を活用できるケースもあります。国や自治体の物流業界向け支援制度を確認し、コストを抑えながら設備投資を進める方法を検討してください。

物流業界の人手不足解決には複数の打ち手の組み合わせが鍵

物流業界の人手不足は、単一の解決策で乗り越えられるものではありません。

多様な人材の活用、自動化・省力化への投資、労働環境の改善、業務効率化といった既存の打ち手に加えて、2027年春に施行予定の特定技能「物流倉庫」分野の追加が新たな選択肢として加わります。
中でも特定技能制度の活用は、若い労働力を中長期的に確保する手段として大きな可能性を持っています。

受け入れには直接雇用、ITシステム導入、省力化機器の整備、業務範囲の明確化、生活支援体制の構築など、準備すべき項目が多数あります。
施行までの期間を有効に使い、自社の倉庫業務をどう変えていくかを今から計画しておくことが、人手不足を乗り越える企業とそうでない企業を分ける分岐点になるはずです。
複数の解決策を組み合わせて、自社の規模と状況に合った打ち手を実行していきましょう。

物流倉庫の人手不足対策や特定技能「物流倉庫」分野の活用について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽に医療介護ネットワークまでお問い合わせください。