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特定技能は自社支援できる?要件や登録支援機関へ委託する場合との違いを解説

特定技能は自社支援できる?要件や登録支援機関へ委託する場合との違いを解説

医療介護ネットワークのコラムをご覧いただきありがとうございます。

特定技能外国人を採用するとき、「支援は登録支援機関にお願いしないといけないの?」と疑問に思う経営者や採用担当者もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、一定の要件を満たしている受入れ機関であれば、1号特定技能外国人を自社で支援することが可能です。必ず登録支援機関へ委託しなければならないわけではありません。

自社支援には、委託費用を抑えられる可能性があることや、外国人材の受入れノウハウを社内に蓄積できるメリットがあります。一方で、支援責任者・支援担当者の選任や相談体制の整備、定期面談など、継続して支援できる体制が必要です。

この記事では、「特定技能の自社支援を検討しているけれど、自社が要件を満たしているのかわからない」という事業者向けに、自社支援の要件や10項目の義務的支援、登録支援機関へ委託する場合との違いをわかりやすく解説します。

特定技能1号は自社支援できる

1号特定技能外国人を受け入れる企業は、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、その計画に沿って仕事や日常生活、日本での社会生活に必要な支援を行わなければなりません。

ただし、支援を登録支援機関へ委託すること自体が義務になっているわけではありません。必要な支援体制を整えられる受入れ機関であれば、自社で支援を実施できます。

自社支援・一部委託・全部委託から選べる

1号特定技能外国人への支援方法は、大きく分けると次の3つです。

  • 必要な支援をすべて自社で行う
  • 自社で対応できる支援は行い、一部を外部へ委託する
  • 支援計画の全部を登録支援機関へ委託する

自社で支援体制に関する基準を満たしている場合は、一部の支援だけを外部へ委託することもできます。一方、登録支援機関へ支援計画の全部を委託した場合は、受入れ機関が支援体制に関する基準を満たしたものとして扱われます。

そのため、「自社支援か登録支援機関か」の二択で考える必要はありません。社内で対応できる範囲や外国人材の人数、対応可能な言語などを確認しながら支援方法を決めることが大切です。

自社支援にはどんなメリットがある?

自社支援を検討する理由のひとつが、登録支援機関への委託費用を抑えられる可能性があることです。

特定技能外国人を複数人、継続して受け入れる場合は、外部へ支払う委託費用と、自社で支援担当者を配置した場合の人件費や業務負担を比較することになるでしょう。

また、自社の職員が支援に直接関わることで、外国人材の仕事や生活上の悩みを把握しやすくなるという面もあります。

特に介護現場では、業務だけでなく、日本での生活や職場の人間関係について相談を受けることもあります。普段から外国人材と接している職員が支援に関わることで、困りごとを早い段階で把握しやすくなります。

ただし、自社支援=必ずコストを削減できるというわけではありません。担当者の人件費、通訳・翻訳費用、行政手続きや面談にかかる時間なども含めて判断する必要があります。

特定技能の自社支援に必要な要件

特定技能の自社支援に必要な要件

特定技能の自社支援を行うには、「社内に担当者を置けばよい」というわけではありません。1号特定技能外国人支援計画を適切に実施できる体制を整え、制度上の基準を満たす必要があります。

2026年9月時点で、自社支援を検討する際に確認したい主なポイントをまとめると次のとおりです。

確認項目 主な内容
受入れ・相談対応の実績 過去2年間の一定の中長期在留者の受入れ・管理実績や、生活相談業務の経験などを確認
支援責任者・支援担当者 支援計画を管理・実施する担当者を選任
中立性 外国人本人を直接指揮・監督する立場ではない者を選任
言語対応 外国人本人が十分に理解できる言語で情報提供や相談対応ができる体制を整備
義務的支援 事前ガイダンスや生活支援、定期面談など10項目の支援を実施
地域との連携 市区町村への協力確認書の提出や共生施策への協力に対応

受入れ・相談対応などの実績を確認する

現在の制度では、自社支援を行う受入れ機関について、過去2年間に一定の中長期在留者を適正に受け入れ・管理した実績があることや、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験のある役員・職員を配置することなど、支援体制に関する基準が設けられています。

これらに該当しなくても、同程度に支援業務を適正に実施できると認められる場合があります。つまり、「外国人を雇用したことがある」というだけで自社支援ができるわけでも、「初めて外国人を採用するから絶対に自社支援できない」というわけでもありません。

自社の受入れ実績だけでなく、担当予定者のこれまでの経験も含めて確認する必要があります。

支援責任者・支援担当者を選任する

自社支援を行う場合は、支援責任者と支援担当者を選任します。

支援責任者は、支援計画の作成や支援担当者への指導・監督など、支援全体を管理する役割を担います。支援担当者は、支援計画に基づいて実際の支援を行います。

支援責任者と支援担当者は必ず別々の人にする必要はなく、要件を満たしていれば同じ人が兼任することも可能です。

外国人を直接指揮する立場の人は注意する

支援責任者や支援担当者には、支援を中立的に実施できる立場であることも求められます。

たとえば、1号特定技能外国人に対して直接指揮命令を行う職員や、その外国人が所属する部署を監督する立場の人などは、中立性の観点から適さない場合があります。

「社内で外国人とよく話しているから」という理由だけで担当者を決めず、組織上の立場や指揮命令関係まで確認しましょう。

十分に理解できる言語で対応できる体制を整える

相談・苦情への対応や支援に必要な情報提供は、1号特定技能外国人本人が十分に理解できる言語で行える体制が必要です。

ここでいう「十分に理解できる言語」は、必ずしも母国語に限られません。本人が内容を十分に理解できる言語であることが重要です。

また、支援責任者や支援担当者本人が外国語を話せなければならないわけではありません。必要なときに通訳者を確保できる体制が整っていれば対応できます。

特に介護事業所では、仕事の悩みだけでなく、住居や行政手続き、病院、日常生活について相談されることも考えられます。困ったときに安心して相談できる環境をあらかじめ整えておきましょう。

地方公共団体の共生施策にも対応する

2025年4月1日から、特定技能外国人を受け入れる事業者と地方公共団体との連携が強化されています。

受入れ機関は、特定技能外国人が働く事業所の所在地や住居地が属する市区町村へ「協力確認書」を提出し、地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合には必要な協力を行います。事業所と住居が異なる市区町村にある場合は、それぞれへの提出が必要です。

自社支援では、外国人本人への直接的な支援だけでなく、地域との連携についても対応できる体制を考えておく必要があります。

2027年4月から支援体制の要件が変わる

2027年4月1日から、1号特定技能外国人への支援体制に関する要件が改正される予定です。

主な変更点として、支援責任者・支援担当者について、支援を行う事業所ごとに常勤の役員または職員から選任することや、実際に支援業務を行える人を支援責任者・支援担当者に限定することなどが予定されています。

また、支援責任者には支援能力向上のための養成講習を修了する仕組みも導入されます。ただし、2026年9月時点では経過措置が設けられており、2027年4月1日以降も当分の間は講習の修了義務を適用しないとされています。

これから自社支援の体制をつくる場合は、現在の要件だけでなく、2027年4月以降のルールも確認しながら準備しておくとよいでしょう。

特定技能の自社支援で行う10項目

特定技能の自社支援で実施する10項目

1号特定技能外国人を自社支援する場合は、支援計画に基づいて10項目の義務的支援を行います。

項目 支援内容
1 事前ガイダンス
2 出入国する際の送迎
3 住居確保・生活に必要な契約支援
4 生活オリエンテーション
5 公的手続きへの同行・補助
6 日本語学習の機会の提供
7 相談・苦情への対応
8 日本人との交流促進
9 本人の責任ではない離職時の転職支援
10 定期面談・行政機関への通報

1.事前ガイダンス

雇用契約を締結したあと、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に、事前ガイダンスを実施します。

労働条件や活動内容、入国手続き、保証金の徴収がないことなど、日本で働き始める前に知っておくべき内容を説明します。対面だけでなく、テレビ電話などを使って行うことも可能です。

2.出入国する際の送迎

海外から1号特定技能外国人として入国する場合は、空港などから事業所または住居まで送迎します。

特定技能としての活動を終えて帰国するときも、空港などまで送迎・同行し、保安検査場への入場を確認するところまで対応します。

3.住居確保・生活に必要な契約を支援する

日本で生活するための住居確保も支援します。受入れ機関が連帯保証人になる、社宅を提供する、住宅を借り上げて提供するといった方法があります。

さらに、銀行口座の開設や携帯電話、水道・電気・ガスなど、生活に必要な契約について情報提供や手続きの補助を行います。

4.生活オリエンテーションを行う

日本の生活ルールやマナー、公共交通機関や医療機関の利用方法、防災・防犯、緊急時の連絡先など、日本で生活するために必要な情報を説明します。

説明するだけではなく、本人が内容を理解できる言語で適切に伝えることが重要です。

5.公的手続きへの同行・補助を行う

住居地の届出、社会保障、税など、日本で生活するうえで必要となる行政手続きについて情報を提供します。

本人だけで手続きを進めることが難しい場合には、必要に応じて窓口へ同行したり、書類作成を補助したりします。

6.日本語学習の機会を提供する

地域の日本語教室やオンライン学習、日本語教材などの情報を提供し、日本語を学ぶ機会を確保できるよう支援します。

自社で日本語教室を運営する必要はありません。介護分野では利用者や職員との会話が日常的に発生するため、継続して日本語を学べる環境を案内することも大切です。

7.相談・苦情に対応する

仕事や日本での生活について相談や苦情があった場合は、本人が十分に理解できる言語で対応します。

相談内容に応じて必要な助言を行い、必要であれば行政機関などにつなげます。「困ったときに誰へ連絡すればよいかわからない」という状態にならないよう、相談窓口や連絡方法も事前に伝えておきましょう。

8.日本人との交流を支援する

地域のお祭りやイベント、自治会活動など、日本人や地域住民と交流できる機会について情報を提供し、必要に応じて参加を支援します。

職場以外にも地域とのつながりを持てるよう支援することも、義務的支援のひとつです。

9.本人の責任ではない離職時は転職を支援する

会社側の都合など、外国人本人の責任ではない理由で特定技能雇用契約を解除する場合には、転職に向けた支援が必要です。

転職先に関する情報の提供や推薦状の作成、求職活動に必要な有給休暇の付与、必要な行政手続きの案内などを行います。

10.3か月に1回以上の定期面談を行う

支援責任者または支援担当者は、1号特定技能外国人本人と、その外国人を監督する立場の人に対して、3か月に1回以上の定期面談を行います。

面談では仕事や生活の状況を確認し、問題が起きていないかを把握します。労働関係法令などへの違反を把握した場合には、関係行政機関への通報など必要な対応も求められます。

なお、この定期面談と出入国在留管理庁への「定期届出」は別のものです。

定期届出については2025年4月1日から四半期ごとではなく年1回へ変更され、現在は4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を、翌年5月31日までに届け出る仕組みになっています。定期面談は引き続き3か月に1回以上必要なので、混同しないようにしましょう。

自社支援と登録支援機関への委託は何が違う?

特定技能の自社支援と登録支援機関への委託の違い

特定技能の自社支援と登録支援機関への委託では、費用の発生方法だけでなく、社内の業務負担や必要な知識にも違いがあります。

自社支援 登録支援機関へ全部委託
委託費用 原則発生しない 契約内容に応じて発生
社内の業務負担 大きくなりやすい 支援実務を外部へ任せられる
支援体制の基準 自社で満たす必要がある 全部委託すると基準を満たしたものとみなされる
制度・支援の知識 社内で継続して確認する必要がある 登録支援機関の知識を活用できる
外国人との関わり 自社で直接支援する機会が多い 支援の一部を登録支援機関が担当する

自社支援でも費用がゼロになるわけではない

登録支援機関へ委託すれば、契約内容や支援範囲に応じた委託費用が発生します。一方、自社支援では登録支援機関への委託費用はかかりません。

ただし、自社支援にもコストがあります。たとえば、支援責任者・支援担当者の人件費、通訳・翻訳費、行政手続きへの同行、定期面談、住居確保などに時間や費用がかかる場合があります。

委託料金だけを比較するのではなく、社内の担当者が支援に使う時間まで含めて比較することが大切です。

自社支援では制度変更への対応も必要

自社支援では、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談対応、定期面談だけでなく、支援記録の管理や各種届出にも対応します。

特定技能制度は運用方法や届出のルールが変更されることがあるため、最新情報を確認し続ける体制も必要です。

登録支援機関へ支援計画の全部を委託すれば、義務的支援に関する実務を外部へ任せられるため、社内の負担軽減につながります。

ただし、登録支援機関へ委託しても、雇用主としての責任までなくなるわけではありません。雇用契約を適切に履行し、労働関係法令を守るなど、特定技能所属機関として必要な対応は引き続き行います。

特定技能の自社支援が向いている企業は?

自社支援は、外国人材の受入れ経験があり、必要な人員や相談体制を社内で確保できる企業で検討しやすい方法です。

たとえば、次のような体制を整えられるか確認してみましょう。

  • 自社支援に必要な受入れ実績や担当者の経験がある
  • 支援責任者・支援担当者を配置できる
  • 外国人本人が十分に理解できる言語で対応できる
  • 3か月に1回以上の定期面談を継続できる
  • 行政手続きや生活上の相談にも対応できる
  • 支援記録や届出を適切に管理できる
  • 制度変更を定期的に確認できる

反対に、初めて特定技能外国人を受け入れる場合や、現場の人員に余裕がない場合、多言語での相談体制を確保するのが難しい場合には、登録支援機関への委託も検討する必要があります。

特に介護事業所では、現場職員が通常の介護業務と外国人材への生活支援を同時に担当すると、負担が大きくなることがあります。「自社支援できるか」だけでなく、無理なく継続できるかという視点で考えることが重要です。

特定技能の自社支援についてよくある質問

初めて特定技能外国人を採用する会社でも自社支援できる?

初めて特定技能外国人を採用することだけを理由に、自社支援が一律にできなくなるわけではありません。

ただし、自社の過去の受入れ実績や、役員・職員の外国人への生活相談経験などを含めて支援体制の基準を満たす必要があります。自社にも担当予定者にも必要な経験がない場合は、登録支援機関への全部委託を検討することになるでしょう。

支援の一部だけ登録支援機関にお願いできる?

自社が支援体制に関する基準を満たしている場合は、支援計画の一部を外部へ委託することができます。

たとえば、社内で対応しにくい言語での支援や、一部の生活支援について外部の力を借りる方法も考えられます。

自社支援にすると登録支援機関への費用はかからない?

登録支援機関へ委託しなければ、その委託費用は発生しません。ただし、支援担当者の人件費や通訳費用、行政手続きへの同行時間など、自社で支援するためのコストは発生します。

費用を比較するときは、月々の委託料金だけでなく、社内の業務時間や人員配置まで含めて考えましょう。

自社支援か登録支援機関への委託かは体制を見て判断しよう

特定技能の自社支援か登録支援機関への委託か迷ったら

1号特定技能外国人への支援は、必要な基準を満たしていれば自社で行うことができます。

自社支援には、登録支援機関への委託費用を抑えられる可能性があるほか、外国人材と直接関わりながら社内に受入れノウハウを蓄積できるというメリットがあります。

一方で、支援責任者・支援担当者の配置、多言語での相談対応、生活支援、3か月に1回以上の定期面談、記録や届出などを継続して行わなければなりません。2027年4月からは支援体制に関する要件の変更も予定されています。

そのため、「委託費用を節約できるから」という理由だけで決めるのではなく、必要な支援を継続して行える人員と体制があるかを確認することが大切です。

「自社支援の要件を満たしているのかわからない」「自社支援と登録支援機関への委託のどちらがよいか整理したい」「特定技能外国人を採用したいが、受入れ後の支援まで社内で行うのは難しい」といったお悩みがある場合は、医療介護ネットワークまでお気軽にご相談ください。