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特定技能は転職できる?条件・書類・手続きをまとめてわかりやすく解説

特定技能外国人は転職できる

「特定技能の在留資格を持つ外国人が欲しいけど、転職できるの?」
これは、採用を検討している企業やすでに特定技能外国人を受け入れている企業から、よく聞かれる質問です。

結論から言えば、一定の条件を満たせば転職は可能です。
ただし、転職には在留資格の変更手続き・届出義務・支援計画の引き継ぎなど、受入企業側が正確に把握すべき実務が伴います。

この記事では、特定技能外国人の転職に関する基本ルール・条件・必要書類・手続きの流れを企業の実務目線でわかりやすく解説します。

特定技能外国人は転職できる?基本ルールを整理

雇用契約書に署名する外国人労働者

特定技能制度は技能実習制度と大きく異なり、外国人本人の意思による転職が認められています。
技能実習では原則として転職できませんが、特定技能では日本人労働者と同様に、本人の意思で退職・転職することが可能。

ただし、転職先の業種や手続きに制約があるため、受入企業はその仕組みを正確に理解しておく必要があります。

同一分野内の転職は原則可能

特定技能外国人が同一の特定技能分野内の企業に転職する場合、新たな技能評価試験の受験は不要です。
すでに保有している在留資格「特定技能1号」の「所属機関変更」の手続きを行うことで、転職先での就労が可能になります。

たとえば、介護分野の特定技能1号として働いている外国人が、別の介護事業者に転職する場合は、同一分野の移動となります。
そのため、このケースでは試験なしで転職できます。

このように、企業にとっては即戦力としての採用がしやすい一方、手続き面では旧企業・新企業の双方に届出義務が発生します。

異なる分野への転職に必要な条件

特定技能の対象分野は2026年現在は16分野(2027年は19分野に拡大予定)あり、飲食料品製造・建設・介護・農業など、分野ごとに必要な技能の内容が異なります。
特定技能外国人が現在の分野と異なる分野の企業に転職したい場合は、転職先の分野に対応した技能評価試験に合格する必要があります。

たとえば、飲食料品製造分野で働いている外国人が建設分野に転職しようとする場合、建設分野の技能評価試験(建設技能評価機構が実施するもの)への合格が必須となります。
異分野への転職は本人の負担が大きく、試験合格までの期間中は当該分野での就労ができないため、現実的には同一分野内での転職が大半を占めます。

在留期間(通算5年)への影響

特定技能1号の在留期間は通算で5年以内と定められています。
この「通算5年」は所属企業が変わっても引き続き計算されます。たとえば、A社で2年間就労した後にB社へ転職した場合、B社では残り3年分の在留しか認められません。

転職を受け入れる企業は、採用候補者の在留資格の残余期間を必ず確認したうえで採用計画を立てる必要があります。残余期間が短い場合は、特定技能2号への移行要件を満たしているかも含めて確認することが重要です。

転職が認められるための条件

特定技能転職条件

特定技能外国人の転職が認められるには、外国人本人だけでなく、受入企業側も一定の要件を満たしている必要があります。

転職先が特定技能の対象分野であること

転職先の企業が提供する業務が、特定技能の対象分野に該当していることが前提です。
対象分野外の業務での就労は認められません。

また、転職先での業務内容が特定技能の在留資格の範囲内であることを、在留資格変更申請時に出入国在留管理庁が審査します。

新しい受入企業が要件を満たしていること

転職先の企業も、特定技能外国人を受け入れるための基本要件を満たしている必要があります。

具体的には、適切な支援計画の策定、登録支援機関との契約(自社対応が困難な場合)、社会保険への加入、同等職種の日本人と同等以上の賃金支払いなどが求められます。
これらの要件を満たしていない場合、在留資格変更が認められない可能性があります。

建設分野の転職に注意すべき理由

建設分野については、転職に際して特別なルールがあります。
建設分野では、国土交通省が認定した「建設特定技能受入計画」の認定を受けた企業のみが受け入れ可能。
転職先の建設企業が認定を受けているかどうかを事前に確認する必要があります。

また、建設技能人材機構(JAC)への加入も求められており、手続きが他分野よりも複雑です。

転職時に必要な書類と手続きの流れ

在留資格・書類を確認する担当者

転職時の手続きは、外国人本人・旧受入企業・新受入企業の三者それぞれに義務があります。
届出の漏れや遅れは、受入資格の剥奪につながるリスクもあるため、正確な手順の把握が不可欠です。

外国人本人が行う届出(14日以内)

特定技能外国人は、退職した日から14日以内と、新しい企業に就職した日から14日以内のそれぞれのタイミングで、出入国在留管理庁に「所属機関に関する届出(契約機関に関する届出)」を提出する必要があります。

この届出はオンライン(在留申請オンラインシステム)または最寄りの地方出入国在留管理官署の窓口で行えます。14日以内という期限は厳守が求められており、届出を怠ると外国人本人が入管法違反となる可能性があります。

旧受入企業が行う届出と義務

特定技能外国人が退職する側の企業(旧受入企業)には、以下の届出義務があります。

退職日が確定した時点で速やかに「特定技能受入れ困難時の届出」を、退職日から14日以内に「特定技能雇用契約に係る届出」を、出入国在留管理庁の電子届出システムまたは窓口に提出する必要があります。
これらの届出を怠った場合、今後の特定技能外国人の受け入れ資格が停止されるリスクがあります。

新受入企業が行う手続きと在留資格変更

転職先の新受入企業は、採用する外国人の在留資格が現在有効かどうかを確認したうえで、在留期間更新や所属機関変更の申請をサポートします。

特に在留期間が短い場合や、分野変更を伴う転職の場合は「在留資格変更許可申請」が必須。
申請には複数の書類が必要で、審査には数週間から数ヶ月かかる場合があります。
その期間中、外国人本人は就労できないため、採用計画に余裕を持たせることが重要です。

特定技能の受入企業が転職受け入れ時に知るべきこと

特定技能転職時

支援計画の引き継ぎと登録支援機関の変更

旧受入企業が作成・実施していた支援計画は、転職によって新受入企業に引き継がれるわけではありません。
新受入企業は独自の支援計画を策定し、実施する必要があります。

また、旧企業が登録支援機関に委託していた場合も、新企業は新たに登録支援機関と契約する必要があります。
支援計画の内容や登録支援機関の選定は、採用決定前から着手しておくと手続きがスムーズです。

転職期間中の就労不可と空白期間への対応

転職にあたって在留資格の変更申請が必要な場合、審査期間中は原則として就労ができません。
特に異分野への転職では、技能評価試験の合格から在留資格変更許可までに相当の期間がかかるため、外国人本人の生活費の確保が課題になります。
受入企業としては、この空白期間を考慮した採用スケジュールを組む必要があります。

届出忘れのリスクとペナルティ

各種届出を期限内に提出しなかった場合、旧受入企業・新受入企業ともにペナルティを受ける可能性があります。
特定技能外国人の受け入れ停止処分や、入管法違反として罰則が科される場合もあります。
届出の期限管理は、外国人雇用管理の核心部分として、担当者が漏れなく把握する体制を整えておくことが必要です。

特定技能外国人の採用企業が注意すべき転職受け入れのポイント

採用前に確認すべき在留資格の状態

転職者として特定技能外国人を採用する際は、採用決定前に必ず在留カードで在留資格の種別・在留期間・就労制限の有無を確認してください。
在留期間が残り少ない場合や、在留資格の変更が必要な場合は、採用から実際の就労開始まで時間がかかることを前提に計画を立てる必要があります。

在留期間の残余確認と更新手続き

採用候補者の在留期間が1年未満の場合は、更新申請のスケジュールを早期に把握し、更新に必要な書類の準備を採用確定後すぐに開始することが重要です。
特定技能1号の在留期間通算が5年に近づいている場合は、特定技能2号への移行要件(技能・日本語の追加試験合格など)を本人が満たしているかも確認してください。

【まとめ】特定技能の転職を正しく理解して採用活動に活かす

今回は、特定技能外国人の転職条件についてお話しました。
特定技能外国人の転職は、同一分野内であれば手続きを経て可能です。受入企業にとっては、即戦力の採用機会として捉えることができる一方、届出・在留管理・支援計画策定などの実務が伴います。

採用前の在留状況の確認、届出の期限管理、支援計画の策定——これらを適切に行うことが、特定技能外国人との長期的な雇用関係を築く基盤になります。
不明点は登録支援機関や行政書士に早めに相談することで、手続きミスによるリスクを大幅に減らすことができます。

私たち医療介護ネットワークでは、特定技能外国人の転職に伴う在留資格更新・変更手続きのサポートをおこなっています。
特定技能外国人の転職に伴う手続きで困ったら、ぜひお気軽にご相談ください。