Column

医療介護ネットワークに関連するコラムをご紹介します。

【物流業界】人手不足倒産の事例に学ぶ|倒産を招く3つの連鎖と回避策

医療介護ネットワークのコラムにご訪問いただき、ありがとうございます。
物流業界の人手不足は「採用が難しい」という課題にとどまらず、欠車 → 受注制限 → 資金繰り悪化といった連鎖で、経営を短期間で不安定にするリスクをはらんでいます。

実際に帝国データバンクの調査では、2025年の人手不足倒産は427件(初の年間400件超)となり、物流業は52件で過去最多でした。
そこで今回は、物流企業で起こりやすい「倒産につながる連鎖」と、その回避に向けたポイントをまとめてご紹介します。

物流経営を追い込む3つの典型パターン

物流分野の人手不足は、売上が消えるというより、稼働の目減り利益率の低下が積み重なって経営を圧迫するケースが少なくありません。
ここでは、現場で起こりやすい流れを3つに整理します。

①欠車増による「売上の縮小」と固定費負担の残存

ドライバーの退職や採用難が続くと配車計画が崩れ、欠車が増加します。
その結果、予定していた便数を確保できず、受注を抑えざるを得ない状況が生まれます。

注意したいのは、売上が減少しても、車両リース・保険・駐車場・整備費などの固定費は短期では削減しづらい点です。
売上だけが先に縮小し、固定費が残る状態が続くと、資金繰りは急速に厳しくなります。

②外注増による「利益率の低下」

欠車の穴を埋めるために協力会社や庸車(外部委託)を活用すること自体は合理的です。

一方で外注が常態化すると、委託費が増え、稼働を維持していても利益が残りにくい構造に入りやすくなります。
特に、スポット対応や急な増便が多い場合は委託費が上がりやすく、運賃や付帯作業条件が据え置きのままだと、粗利が薄くなるリスクが高まります。

荷待ち・付帯作業増による「稼働の目減り」

荷待ちや付帯作業(検品・仕分け・横持ち等)が増えると、運転時間以外の時間が伸び、1人あたりが1日に対応できる件数が減少します。
結果として稼働率が下がり、採算悪化につながります。

荷待ち時間の削減や荷役の効率化は、長時間労働の抑制にも直結します。改善には荷主側との調整も含め、負荷の可視化と運用の見直しが重要です。

倒産の一歩手前で出やすい「危険サイン」

倒産は突然に見えても、多くの場合は「現場」「数字」「人」に先行して兆候が現れます。
社内で共有しやすい早期サインを、確認しておきましょう。

観点 代表的なサイン例
現場 欠車が増え、配車変更が常態化している/遅配・再配・クレームが増えている/事故・ヒヤリハットが増え、運行が不安定になっている
数字 便数はあるが月末の資金繰りが綱渡り/外注比率が上がり粗利が継続的に低下/荷主別・コース別の採算が把握できず、交渉根拠が出せない
管理職が現場穴埋めに入り管理・教育が回らない/ベテランの不満が蓄積し離職リスクが高まる/新人が定着しない・育成に手が回らない

これらが複数同時に出ている場合は、採用強化だけで押し返すよりも、まず採算・稼働の歪みを是正するほうが安全です。

立て直しは「採算・稼働・定着」を同時に整える

人手不足が続くほど、現場は「とにかく回す」を優先しがちです。
しかし、その状態が長引くほど、外注増や荷待ち増が重なり、忙しいのに利益が残らない状況に入りやすくなります。

特定技能などで人材を補う選択肢を持つことは重要ですが、運用の歪みを放置したまま増員すると
教育が回らない/現場負荷が上がる/定着しないといった別の課題を招きかねません。

立て直しは、次の3点をセットで整理することが現実的です。

①採算:荷主別・コース別に「時間」と「コスト」を見える化する

ざっくりで構いませんので、まずは以下を見える形にします。

  • 何に時間が使われているか(運転/荷待ち/荷役/付帯作業)
  • どのコストが膨らんでいるか(外注費/燃料費 など)

ここが曖昧だと、値上げ交渉も受け方の見直しも判断できません。
特に荷待ちや付帯作業は「無料の前提」で積み上がりやすいため、負荷を言語化しておくことで交渉が進めやすくなります。

②稼働:同じ人数でも回せる量を増やし、現場を安定させる

荷待ち短縮、到着時刻の調整、荷役手順の標準化など、地味でも効果が出やすい改善は稼働に直結します。
配車が日々火消しになっている場合は、まず「崩れる原因」を特定し、ひとつずつ潰すだけでも改善余地があります。

③定着:離職要因を優先順位づけして潰す

離職は採用以上にダメージが大きくなりがちです。
「不公平感」「休みの取りにくさ」「荷待ちのストレス」など、辞める理由になりやすいポイントを優先して整えることで、次の離職を防ぎやすくなります。

結果として教育・引継ぎ負担も減り、現場が回りやすくなります。

特定技能を検討するときに、先に決めておきたい3つのこと

特定技能を検討する際に重要なのは、「採用できるかどうか」だけではありません。
入社後に戦力化し、定着できる形を作れるかが成否を分けます。
曖昧なまま進めると、受入れはできても現場が疲弊しやすくなります。

①任せる業務の範囲を決める(既存ドライバーとの役割分担)
「どのコースを任せるのか」「付帯作業はどこまで担うのか」など、業務範囲を明確にしておくと、現場の混乱と不公平感を抑えられます。

教育と安全運用の担当者を決める(忙しいほど抜けやすい)
教育の責任者、同乗指導の設計、事故時の報告フローなど、運用面を先に固めることが重要です。繁忙期ほど後回しになりやすいため、最低限の枠組みだけでも先に用意します。

③生活面の立ち上げ支援を設計する(住居・手続・相談窓口)
住居、行政手続、生活オリエンテーション、相談窓口の有無は定着に影響します。仕事以外の不安を早期に吸収できる体制があると、離職リスクを下げやすくなります。

まとめ

物流業界の人手不足倒産は、今後も大きな課題となり得るでしょう。安定した輸送体制を維持するためにも、早めの対策が欠かせません。
医療介護ネットワーク株式会社では登録支援機関として、特定技能人材の受入れに必要な準備から、入社後の定着支援までを一貫してサポートしています。

「特定技能を検討したいが、何から始めればよいか分からない」という物流企業さまのお声も多くいただいております。

気になる方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
状況を伺いながら、受入れに向けて必要な準備や進め方をわかりやすくご案内します。